大都会の片隅に忘れ去られたような広大な空間。夜になると水銀灯が灯り、複雑に張り巡らされた構内のレール、架線に照射され、幻想的な空間に変わります。

大都会の片隅に忘れ去られたような広大な空間。夜になると水銀灯が灯り、複雑に張り巡らされた構内のレール、架線に照射され、幻想的な空間に変わります。
初冬の声が聞こえる頃、日本海は強い季節風が吹き始めそれと伴に荒波が立ち始めます。とてつもない大自然の力を見せつけられるその光景。そんな中ちいさな列車が健気に走りゆく姿はとても凜々しく思えます。作品舞台は進行の山「米山」の麓。その名も信越本線「米山駅」。付近には昔ながらの民家が建ち並び旅情と郷愁を感じさせます。
横浜の地下鉄は外に顔を出すことが多いです。我が家の近所でも「富士山の見える地下鉄駅」として昨今話題の「川和町駅」があります。車庫に繋がる側線とリニアモーター式故のリアクションプレート、架線が西陽に照らされると、複雑な旋律を奏でます。
第2回日展は昨年が特選受賞だったので無鑑査です。作品舞台となった場所は以前から構想を温めておいた東京荒川区日暮里の常磐線の線路です。踏切越しに眺めたこの風景。上には京成線の高架橋があり、カーブしたレールと覆い被さる複雑なガーター橋の創り出す旋律。そこに午後の陽差しが当たると、ドラマチックな光のスペクトルが生まれるのです。